母の想いをお守りに
編集:しほママ

東日本大震災のあと、私は初めて「防災セット」をつくりました。
きっかけは、“息子を守りたい”という想い。
その後、部活や塾に行くときも持たせ、今も大学生になった息子のバッグに入れてもらっています。
中身は、100円ショップで買った濡れないカードケースに収めたお守り5点セットです。
1つめは家族写真。
震災のとき、私はたまたま休みで家族といられましたが、平日昼間の災害だったため、まわりの多くの人が家族に会えずにいました。
その姿を見て、「写真が家族を探す手がかりにも、心の支えにもなる」と感じ、持ち歩くようになりました。
今は離れて暮らす息子からのメッセージを添えています。
2つめは小銭。
停電でATMもキャッシュレスも使えず、店先で現金払いのみ。
おつりが出ない場面も多く、小銭の大切さを実感しました。
3つめは笛(ホイッスル)。
どこで地震にあうかわかりません。
助けを呼ぶ、防犯にも役立つ命の音です。
4つめはマイナンバーカード(保険証のコピー)。
身分証や医療の備えとして。
5つめはパーソナルカード。
スマホが使えなくなることを想定し、家族の連絡先や避難先を手書きで記しています。
たった数枚の紙と小さな道具。
けれど、そこには「どうか無事で」という、母としての祈りが込められています。
わたしも今は、息子の写真を入れたそのカードケースを大切に持ち歩いています。