女性が安心して使える避難所トイレへ｜自治体が知っておきたいポイント

 

避難所では、生理用品やプライバシー、夜間の安全など、女性が不安を感じやすい場面が起こりがちです。

 

しかし、こうした負担は、事前の備えや設備の工夫で大きく減らせます。

 

この記事では、内閣府の「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」を踏まえながら、避難所で想定される困りごとと、自治体が整えておきたいトイレ環境のポイントをまとめました。

 

女性が安心して利用できる避難所づくりのために、ぜひ参考にしてください。

 

避難所のトイレで、女性が感じやすい不安と困りごと

 

プライバシーが確保されにくい

 

避難所では男女共用トイレが使われることも多く、扉の隙間や音漏れが気になりやすい環境になりがちです。

 

こうした状況では落ち着いて利用しにくく、混雑時は我慢してしまうケースもあります。

 

生理用品が手に入りにくい・安心して使えない

 

受け取り場所が分かりにくい、備蓄が不足しているなど、必要な時に生理用品が手に入りにくい状況が生まれやすくなります。

 

また、個室が狭かったり、処分用ごみ箱がない場合、安心して利用しづらくなります。

 

夜間の移動が不安

 

トイレが建物の外にある避難所では、夜間は暗さや人の目が届きにくい環境が不安につながります。

 

特に子どもと一緒に移動する場合、負担が大きくなりやすくなります。

 

子ども連れで利用しづらい

 

親子で個室に入れないほど狭い、行列中に子どもが我慢できないなど、避難所のトイレは、子連れ家庭にとっては利用しにくい場面があります。

 

慣れない環境で子どもがトイレを嫌がることも考えられます。

 

においや汚れが気になる

 

避難所のトイレでは、断水や設備の制限により、トイレが汚れやすい環境が生まれがちです。臭いが強くなり、利用をためらう人が出ることもあります。

 

実際、能登半島地震でも、臭いの問題から水分や食事を控えた被災者がいたことが報告されています。

 

自治体が整えておきたい「女性に配慮したトイレ環境」

 

女性専用トイレを十分に確保する

 

内閣府のガイドラインでは、女性用：男性用＝3：1 の比率を目安とするよう示されています。利用頻度や滞在時間の長さを踏まえ、十分な数を確保することが必要です。

 

また、女性用トイレは避難スペースから近い場所に配置し、動線をパーテーションなどで整えて、行列が見えにくい環境にすると負担を減らせます。

 

生理用品が受け取りやすく、安心して使える仕組みにする

 

受け取り場所を掲示し、迷わず必要なものを受け取れるようにします。

 

内閣府のガイドラインでは、

 

• 個室内の処分用ごみ箱
• 荷物を置ける棚やフック

 

の設置が推奨されています。こうした配慮が、女性が落ち着いて利用できる環境づくりにつながります。

 

夜間でも安心して移動できる照明を確保する

 

トイレ周辺だけでなく、トイレへの経路にも十分な照明を確保することが必要です。停電時でも使えるバッテリー式ライトや仮設照明の備蓄があると安心です。

 

陰になる場所の事前確認や、状況に合わせたライトの設置といった細かな調整が防犯面でも役立ちます。

 

子連れで使いやすい個室を確保する

 

親子で入れる広めの個室を確保し、ベビーチェアや荷物用フックなどを設置すると、子連れの女性も安心して利用しやすくなります。

 

近くにおむつ替えスペースや交換シートを設ければ、トイレまで行かなくても子どもの世話ができて安心です。

 

混雑や衛生対策として簡易トイレを備蓄する

 

避難所では、断水や設備トラブルで水洗トイレが使えなくなることがあります。また、仮設トイレの設置までに時間がかかることも多く、その間は混雑や衛生面の負担が大きくなりがちです。

 

だからこそ、衛生的に使える簡易トイレを十分に備蓄しておくことは、避難所運営において非常に重要なポイントです。

 

利用ルールの周知や動線づくりなど「運営面での準備」も合わせてできるセットを備えておくと、現場での負担を大きく減らせます。

 

 

女性向けに備蓄しておきたい主なアイテム

 

• 生理用品（ナプキン・タンポン）
• 個室用サニタリーボックス・処分袋
• 簡易トイレ・携帯トイレ
• 消臭剤・除菌シート
• 手指消毒アルコール
• 荷物用フック・小物置き棚

 

利用者数や避難所の規模に応じて数量を調整し、女性も安心して使えるトイレ環境を目指しましょう。

 

女性が安心して使える避難所トイレ運営に備えよう

 

避難所で女性が安心して過ごすためには、トイレの配置、生理用品の管理、照明の整備、簡易トイレの備蓄など、事前の準備が欠かせません。小さな配慮の積み重ねが、避難生活の負担を大きく減らします。

 

自治体としてできる準備を進め、誰にとっても使いやすい避難所づくりを目指しましょう。